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ムードボードとその活用を学ぶ(FLN ThinkD Lab 出前勉強会)

今年最初のFLN ThinkD Lab。今回はゼミ生も参加の勉強会を開催した。FLN ThinkD Lab(FLN研)は、デザインに関する研究的活動をする人のためのグループ。ゼミ生は実務に関わる相談やコーチングを僕に受けている人たちだ。
年末にデジハリの受講生が質問(というより人生相談みたいな)をされ、話しているうちにムードボードの話をしてもらうことになったのだが、ようやく開催できた。

いつもは4人程度しか参加しないんだけど、人が増えてきてオフィスでの開催が難しかった。そこで忙しくてなかなか勉強会に参加できない人たちのところに勉強会を出前することにした。といっても頼まれているわけではないので、完全に押し売りなんだけど。会場は今年20周年を迎えるディーゼロさんの、サロンをお借りすることできた。いつも助かってます。

最初にFLN研の話と、今回のムードボード勉強会の経緯についてお話した。ムードボード(イメージボードとも)は、意外とベテランのグラフィックデザイナーでも知らない人が多いみたい(やってないのではなく、近いことをやっている人もいる)。僕自身も大学でムードボードを作ったり、教わったりした記憶はない。

働きだしてから、八木保さんの著書『八木 保の仕事と周辺』で、八木さんがプレゼンテーションのときにコンセプトを理解してもらうためにマテリアルボックスというコラージュを知ったけど、ムードボードは独立後に講師業を始めたときに勤務先の学校で知ったくらい。

だから、出来上がったものしか見たことがなく、想像で作るしかなかった。ネット上ではムードボードとはこういうもの、みたいな説明と、こういうメリットがありますといった紹介はあるのだけど、

  • そもそも何から始めるのか
  • コラージュ用の写真を集める前にどんな情報が必要なのか
  • 写真の採用の基準はどう設定するのか
  • 制作時にはどこに着目するのか
  • 出来上がったボードはどう評価するのか
  • どんな活用の仕方があるのか

といった事について詳しく説明された記事は見かけない。今回は実践者からそれを学び、実用的なやり方を身につけようというわけだ。

今回講師をしてくださる研究員の松木さん。
人生相談してきたのはこの人だw 大手寝具メーカーでテキスタイルデザイナーをやっていた経歴の持ち主で、ムードボードの実践者。

現場ではムードボードのことを「マップ」と呼ぶらしく、5種類あるのだそう。以下の5つのマップについて解説があった。

  • ターゲットマップ
  • シーズンマップ
  • カラーマップ
  • マテリアルマップ
  • 店舗・ツールイメージマップ

ターゲットをライフスタイルで捉えるためのターゲットマップが起点となり、他のマップに展開していく。これがズレてると、商品が売れないことになる。それだけにターゲットマップは重要。

様々なムードの事例とともに、他のマップについても説明を受け、ムードボードがいったいどういうモノなのかを教わった。
ボード制作のプロセスや制作期間だけでなく、ボード制作に必要となるマーケティング情報や、実際にあった無茶なオーダーにどう対処していったのかなどにも話が及んだ。

クラスター分析(ターゲットセグメントのような)を事前に行い、そこでグルーピングされたクラスタごとにボードを作り議論に使用するなど、チームのメンバー間ではムードボード(=ユーザーとそのライフスタイル)を介して会話をしている印象をうけた。

説明がひととおり終わり、後半は演習。実際にやってみることに。しかし意外と時間が経ってて残り時間が30分程度しかない。本格的にやるならもっと長めに設定しないといけないな。

今回のお題は「シンプルナチュラル」。 早速Pinterestを使ってターゲットマップ用の写真を集め始める。Pinterestは、Googleの画像検索よりも使える写真が出てきやすいんだそう。
ネットがなかった頃は、雑誌を買ってきて切りぬいて作っていた。だから元写真は最後までとっておき、カラーコピーでリサイズしながら制作していたそう。レビューでOKがでたら元写真やコピーで一番ベストなものを使うなど聞いただけでも大変そう。デジタルでできるようになってかなり楽になったのではないだろうか。

それでも写真を見つけるだけでも結構時間がかかる。1つのボードを作るのに1〜2日はかかるそうだ。ある程度写真をあつめたところで、目指すテイストを最も表しているものを選び、ボードに貼っていく。ツールはみなさん様々。

ボードでは写真のサイズにも意味がある。Pinterestのボードをプリントアウトして使用するのを薦めている記事もあったけど、それだと使えないってことですね。

Pinterestを使うと画像の収集は楽だけど、似たテイストの写真をずっと眺めているとだんだん何が探しているのかかわからなくなってきて、いつまでもやってしまいそう。

作ったボードを並べて、皆でレビュー。

今回は時間が短かったので人物像と部屋の写真だけ使う。こうやって写真を2枚ならべただけでも、単なるシーンじゃなくその人達の生活をイメージしやすくなる。出されたお題よりも、ちょっと年収が高そうになってしまった。

こっちのほうが近いかな?

松木さんがみなさんのボードにコメントしていく。

全員での振り返りタイム。気がついたことや、やったことへの意味づけ、自分の業務で使うにはどうしたらいいか、などディスカッションが行われた。

ターゲットマップは、利用者のパターンとそのモデル化という意味ではペルソナに近いようだけど、ペルソナがコンテクストやゴールを設定するのに対して、こちらはライフスタイルを設定する。定義しているものが違うと思う。ペルソナとフォトエッセイの間みたいな印象。

ムードボードは、最終的には「モノのデザイン」をするために、商品の見た目の雰囲気や素材感のゴールを定めるものだが、最初に作成するターゲットマップは、ターゲットセグメントの差を表現していると思う。UXデザインのプロセスでユーザーに共感しやすくするためのモデリングデータとしても使えそうだなと思った。

最後は各自の振り返りタイムをして終了。
ムードボートとは何かを知ることが出来たので、今度は本格的に一通り作ってみる勉強会をやってみるのはいいかもしれない。