ADOBE DESIGN JIMOTO in 福岡 に、挑戦者として参加した。
福岡在住のデザイナー、イラストレーター、映像作家、デザイン学生たちが、与えられたテーマに対し即興で制作を行うというイベント。テーマは当日の朝伝えられ、制限時間4時間で制作から発表まで行い、一般参加者の投票で作品の優劣を競う。
会場はデジタルハリウッド福岡校。朝10時に会場入りして、企画したAdobe社スタッフからの説明を聞きいた。イベントのコンセプトは「デザインの力 x 地元」。地元の問題を解決するというのが趣旨。
「地元の問題」という情報だけは聞いていたので、観光資源についてか、外国人観光客の増加における問題じゃないかと予想していたけど、本当にそうなった。
地元企業から聞き取りをした結果「バス停」が問題となったらしく…
外国人でもわかるバス停を提案しなさい、というテーマが与えられた。
条件は「認識のしやすさ」と「楽しく乗り物に乗れるとわかる」ということだったが、「外国人は本当にバス停がわからないのか」というのは確かめてみないとわからない。
今回はUXデザインの勉強会を開催している、からくりもの の小柳さんとパートナーを組んでの参加で、参加前から二人で決めていたことがあった。それはデザインリサーチを必ず行うことと、プロトタイピングを行うということだった。そこで実際に周辺のバス停に観察しに出かけることにした。
天神周辺はバス停によく似た形の屋根付き施設がいくつもある。これは地下街の入口。
こちらはタクシー乗り場
これが天神にあるバス停。側面サインとリアルタイムで表示が変わる時刻表モニタがついたフルセットタイプ。周辺が雑然としているが、はたして外国人はいるだろうか。
こちらは周囲の見通しもいいので見つけやすそう。このタイプはこういった大きな通りだけで、小さな通りでは小さなバス停になる。
天神にはこの規模のバス停が相当数ある。しかも同じ名前の付いたバス停も複数あるので、バス停に番号がついていて区別できるようになっている。
バス停には時刻表もあるが、広告のほうがでかい。この広告収入はバス停の維持費に充てられているのかな。
バス停上部には、行き先名が大きく書かれている。番号はそんなに大きく書かれていない。
側面からも行き先は確認できる。
この木の向川にもバス停があるが、地元民じゃなければ一見わからないかもしれない。
実はフィールドワークを行う直前に、知人の福岡在住である外国人(一人はサンティアゴ出身、もう一人は上海出身。この時は前者から)に福岡にやってきたときにバス停について質問をしておいたら、電話がかかってきてインタビューすることができた。そこで得られたのは、乗り場がわからないということは無く、それよりも言葉の問題だということだった。
言葉の問題とは「警固神社」に行きたいとき、頭の中では「Kego Jinja」だと思っているが、英語表記は「Kego Temple」と翻訳されている。「Jinja = Temple」とは思ってもいないので、そこでわからなくなる、ということだった。
なるほど、たしかに翻訳されてる(Kego Shrine でした)
会場付近では外国人が見当たらなかったので、反対側のバスターミナル周辺のほうが多いのではないかと予測し移動。
するとホントにいた。バス停でiPhone使って調べているがわからなかったようで、外国人向けのガイドマップも拡げてるがどうしていいかわからず。バス停に時刻表を見に行くが、目的地が載ってないのでどうしよう、と不安そうな顔をしていた。うまく近づき、道を尋ねられることに成功。
先頭を歩くのはパートナーの小柳さん。うしろを韓国人カップルがついて行く。彼らは「大濠公園」に行きたいのだが、日本語はほぼわからず英語も微妙な感じで、現在地もわからずマップが読めてなかった。バス停が違うことや通りが違うことを伝えようとしたが、あまりわかって無い様子。でもつれてってあげるよ、というのは雰囲気でわかったっぽい。
バス停に到着。ここで時刻表を確認したら、文字は読めないけど「77」に乗ればいいことが伝わり、ほっとひと安心。
もう一組発見!なんとか声をかけられないかと近づくが…いつの間にか去って行ってしまった。先のほうで女子高生に声をかけていたが、女子高生は「わからないんで…」というそぶりをしていた。
ここからバスターミナルも観に行ってみることにした。ターミナルは3階だけど、この建物はM3という中3階が存在する。このサインでは3階にバスマークがあるのだが、実はエレベーターのサインにはM3にもターミナルの表記があり、僕らも間違ってしまった。
M3でおりるものの、バスターミナルの表記が無く…
もう一つ上だった!
このマークがM3にもあったのだ。
ありました。
おーわかりやすい。
なるほど、色で分けているのか。これじっくり見るんだろうか。残念ながら観察する時間的余裕が無く先へ。
エスカレーター前には空港のような時刻表が。英語・中国語表示もばっちり。
このターミナルは最近リニューアルしてすごくモダンになった。サインも大きくなって、レイアウトも綺麗に整理されている。
以前は紙に出した行き先(日本語、英語、中国語、韓国語 表記)をラミネートして地面にテープで貼っていたけど、タイルで埋め込みかなり綺麗。行き先を全て書くのをやめ、記号のみで認識できるようシンプルな作りになった。
その他サインも、言語よりも数字とアルファベットの構造的な管理となっているようだ。
路線図案内。定期的に言語が切り替わる。
高速バスターミナルには残念ながら、外国人向けのガイドは置いてなかった。
会場に戻る途中、向がわのバス停。バスも頻繁に行き来しているのでバス停だとわかりそうだが、バスが少ない通りだったらわからないかもしれない。わかったとしても、こちら側からはどの乗り場で自分の乗りたいバスに乗れるのかがわからないので、近づいて確認するしかない。
そして会場にもどる。ここまでで2時間弱消費。おなかすいたので食事を取ることに。
次回へ続く。